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ラッダイト運動の由来・語源

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ラッダイト運動の由来・語源

ラッダイト運動(ラダイト運動)という言葉を、世界史の教科書などで見た覚えがある方もいると思います。

ラッダイト運動(Luddite movement)とは、1811年から1817年頃、イギリスで勃発した、職人や労働者による機械打ち壊し運動のことを意味します。

ラッダイト運動ラッダイト運動

産業革命によって機械が普及し、仕事を失う恐れから手工業者や労働者が反動を起こしたのです。

最初、ノッティンガムの編み物工たちによって工業用機械が破壊され、それからヨークシャーの羊毛工業労働者、ランカシャーの綿工業者などに広がっていきます。

1811年、イギリス政府は、機械を破壊した犯人を死刑にする法案を提出。労働者に共鳴していた詩人のバイロンは、議会に出席し、反対の熱弁を振るうも、法律化が進みます。

実際に労働者が死刑にされることもあり、抑圧策によって破壊行動は沈静化。

その後、まもなくラッダイト運動は、賃金の引き上げや普通選挙権を求めるなど、政治的な運動になっていきます。

こうしたことから、ラッダイト運動は、産業革命に対する反近代的な運動というだけでなく、機械を所有する資本家への抵抗という点から、労働組合が発展する前の労働運動の先駆的な行動とも考えられています。

さて、このラッダイト運動ですが、名前の由来や語源についてはご存知でしょうか。

ラッダイト、という言葉の響きから、感覚的に「壊す」などの英語ではないか、と思っていたひともいるかもしれませんが、実際は、人物の名前に由来すると言われています。

その人物というのが、イングランドのある村に住んでいたネッド・ラッド(Ned Ludd)という指導者的存在です。

ネット・ラッドEngraving of Ned Ludd, Leader of the Luddites,  1812年

ネッド・ラッドは、1779年にニット製造機を破壊した、機械打ち壊し運動の指導者として知られています。

それゆえネッド・ラッドは、産業革命に抵抗し、機械を破壊する労働者の象徴的なシンボルとされています。

ラッダイトという名称も、このネッド・ラッドに由来すると考えられていますが、ただ、実在したかどうかなど、詳細は不明で、一般的には架空の人物と言われています。

当時、この名前は、雇用主に対する脅迫の際にも使用されたそうです。

ちなみに、現代社会でも、AIの活用などによって、IT化が進んでいった先で仕事が奪われるひとも多く、また環境破壊の懸念などから、近代的技術の行き過ぎに抵抗する運動として、「ネオ・ラッダイト(ネオ・ラッディズム)」という動きもあるようです。

ネオ・ラッディズムという概念には,新たなテクノロジーを導入するにあたり,人間の都合だけ を考慮するのでなく,他の生命の生存や,自然界のシステムへの影響も考慮すべきだという主張 が含まれており,環境問題も視野に入れている点に特徴があった。

出典 : 21世紀のネオ・ラッディズム―人工知能が引き起こす労働問題