夏目漱石は本名? ペンネーム?
小説『こころ』や『坊っちゃん』などが有名な明治の文豪、夏目漱石(なつめそうせき)。

夏目漱石は、1867年生まれで現在の東京都新宿区出身。大学時代の同窓生としての正岡子規との出会いが、のちの漱石の作家人生を決定づけます。
夏目漱石というのは、本名ではなく、ペンネームです。
漱石の本名は、夏目金之助。そして、この「夏目漱石」というペンネームの由来に大きく関わっているのが、正岡子規です。正岡子規は、数多くのペンネームを持ち、その一つが「漱石」でした。
この漱石という熟語は、中国の古い故事「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」に由来し、意味は、「負け惜しみの強いこと」「ひどく無理矢理なこじつけのこと」「頑固者」です。
中国西晋(せいしん)の孫楚(そんそ)は「石に枕し流れに漱(くちすす)ぐ」と言うべきところを、「石に漱ぎ流れに枕す」と言ってしまい、誤りを指摘されると、「石に漱ぐのは歯を磨くため、流れに枕するのは耳を洗うためだ」と言ってごまかした故事から。
この正岡子規のペンネームの一つでもある「漱石」を(漱石本人は過去に正岡子規が使っていたことを当初知らなかったようですが、のちに譲り受けます)、22歳の頃から、夏目漱石(金之助)も使用するようになります。
ちなみに、「金之助」という名前の由来は、古い言い伝えにあります。
夏目漱石が生まれた日というのが、干支に当てはめると庚申(かのえさる)の日で、この日に生まれた子供は大出世するかもしれませんが、一歩間違えると大泥棒になると言われ、その難を避けるためには、名前に「金」という字を入れたほうがいい、という言い伝えから、両親が「金」という文字を名前に入れ、「金之助」としました。