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いたちごっこの語源、由来、英語訳

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いたちごっこの語源、由来、英語訳

日本語の有名な慣用句に、「いたちごっこ」という言葉があります。意味は、「両者が同じことを繰り返し、らちがあかないこと」を指します。

それじゃ結局はいたちごっこだよ、といった風に普段も割と使う言葉なのではないでしょうか。

文学作品のなかでも登場する言葉で、たとえば、以下のような例文があります。

例文

この世界は、仕組みを完全に理解するには少々複雑過ぎる。 追いついたと思うと、その先端はもっと前に進んでいってしまい、いたちごっこはいつまでたっても終わりそうにない。 永久に捕らえることのできない影のようなものだ。

出典 : 鈴木光司『ループ』

農薬への耐性をそなえ、高濃度あるいは新しい薬でないとびくともしなくなっている。 このいたちごっこはずっとつづいているのだ。 農薬は食品にも付着し、人間のほうをむしばんでしまう。

出典 : 星新一『きまぐれ博物誌』

一九四五年当時からくらべると殺虫剤の使用量は単位面積あたり一〇倍へとふえているにもかかわらず、農産物の病虫害被害はかえって二倍にもふえ病虫害と殺虫剤とのいたちごっこがすすんでいることが判明しました。

出典 : 井上ひさし『コメの話』

他にも、暴走族と警察のいたちごっこなど、何かを捉えようとしても、結局はその「捉えようとすること」そのものが原因となって新たに逃げ道が作られたり、また裏をかかれることでいつまでも捉えられない、といった意味合いで使われ、類語としては「堂々巡り」や「無限ループ」といった言葉が使われることもあります。

それでは、「いたちごっこ」の語源、由来とは一体なんなのでしょうか。

あの動物の「イタチ」に、「いたちごっこ」のような習性があるのでしょうか。

いたちごっこという言葉は、動物のイタチではなく、実は江戸時代に流行った、文字通り「いたちごっこ」という遊びに由来します。

遊びのルールはシンプルで、二人一組になって「いたちごっこ」「ねずみごっこ」と言いながら相手の手の甲を順番につねり、両手がふさがったらいちばん下の手を上に持っていき、また相手の手の甲をつねるという、ひたすら手の甲をつねるゲームです。

ただ、この遊びは終わりがなく、終わりがない遊びというのが転じて、「いたちごっこ」という今の慣用句的な意味に変わっていったようです。

そもそも、なぜいたちごっこと呼ばれるかと言うと、手を素早く動かし、噛むようにつねるという動きから名付けられたようで、だから「ねずみごっこ」とも呼ぶのでしょう(イタチには、特に「いたちごっこ」のような習性もありません)。

ちなみに、「いたちごっこ」に英語訳などはあるのでしょうか。

もともと日本の遊びが語源のため、その状況をぴったり説明する英語訳はないものの、「悪循環」を意味する「vicious circle」や、永遠に終わらないという意味の「never ending」、また「Cat and Mouse」というイディオムもあり、これが一番意味合いとして近いかもしれません。

以上、「いたちごっこ」の語源、由来でした。