未亡人の逆で、男性に使う際の表現
未亡人とは
最近ではあまり使われませんが、古い小説などで使われる表現に、未亡人という言葉があります。
ある種の放送禁止用語的な扱いの面もあるのかもしれませんが、テレビや新聞などでは、それほど多く目にすることはないかもしれません。
未亡人とは、「夫に先立たれ、再婚しない女性」という意味で、この言葉は男性に使うことはありません。
未亡人の漢字を見ると、「未だ亡くならない人」と書きますが、一体なぜ「未亡人」と書くのでしょうか。
この表記には、もともとの由来が深く関わっています。
未亡人の語源としては、かつて中国に、「夫が亡くなったら妻も命を絶つ」という習わしがあり、その習わしに背いて生きている場合、夫が亡くなったにもかかわらず、「未だ亡くならない人(まだ生きている人)」という意味で自称する際に使っていた、という歴史的な由来があります。
古くは、平安時代の書物にも、「未亡人」という言葉は残っています。
現代は、当時の意味合いはありませんが、「未亡人」という文字だけが残り、「夫に先立たれた女性」を指すようになったようです。
それでは、「未亡人」とは逆に、「妻に先立たれた夫」というような、男性に使う「未亡人」を意味する言葉はあるのでしょうか。
未亡人の逆は、「男やもめ」
未亡人の逆の意味合いの表現としては、「男やもめ」という言葉があります。
この「やもめ」とは、漢字で「寡」と書き、本来は、「夫が亡くなり再婚しない女性や、独身の女性」を意味し、一方で、妻を失くした男は「鰥」と言いましたが、「やもめ」は、男女両方に使える言葉でもあります。
そのうち、特に男性を指し、「男やもめ」と言うこともあります。
ただ、「やもめ」というのは、「配偶者が亡くなって再婚しない男女」だけでなく、「独身を貫く男女」も指し、「男やもめ」も、「妻が亡くなった夫」だけでなく、「独身男性や、離婚したあと再婚しないで一人でいる男性」も意味します。
ずっと独身を通している男。また、妻に死別あるいは生別したひとり暮らしの男。やもお。おとこやまめ。おのこやもめ。
男やもめという言葉を使った、「男やもめに蛆が湧き、女やもめに花が咲く」ということわざもあります。
この「男やもめに蛆が湧き、女やもめに花が咲く」とは、妻を亡くした男や一人暮らしの男は、ついつい不潔な環境で生活するようになるのに対し、夫を失った女や一人暮らしの女は、夫の世話もなくなり、身ぎれいにして華やかになることを意味します。
ここで使われているように、未亡人の意味合いで、「女やもめ」という言い方もあります。
ちなみに、英語では、未亡人を「widow」、対義語の男性形を「widower」と言います。
以上、「未亡人」と、男性の場合に使われる言葉「男やもめ」の意味でした。