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夢野久作の本名とペンネームの由来

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夢野久作の本名とペンネームの由来

夢野久作ゆめのきゅうさくは、1889年に福岡で生まれ、1936年に東京都渋谷で脳溢血のため亡くなった日本の禅僧であり小説家です。

夢野久作夢野久作(1889〜1936)

夢野久作は、福岡で生まれ育ち、一年志願兵として近衛師団に入隊。除隊後に、文学や絵画への興味から、慶應義塾大学予科文学科に入学。歴史を選考し、のちに中退。

その後、新聞記者を経て、ルポや童話を書くようになり、次第に作家の道を進んでいくようになります。

夢野久作のデビュー作は『あやかしのつづみ』で、代表作としては、構想に10年の歳月をかけて執筆されたという『ドグラ・マグラ』があります。

そもそも夢というものは、人間の全身が眠っている間に、その体内の或る一部分の細胞の霊能が、何かの刺戟で眼を覚まして活躍している。その眼覚めている細胞自身の意識状態が、脳髄に反映して、記憶に残っているものを吾々は「夢」と名付けているのである。

出典 : 夢野久作『ドグラ・マグラ』

夢野久作というのはペンネームで、本名は杉山直樹と言います(出家名は杉山泰道やすみち)。

この「夢野久作」という一風変わったペンネームは、福岡の博多地方に古くから伝わっている伝説上の人名で、ぼうっとしているひと、いつも遠いところばかり見ているようなひと、夢見がちな変人、といったことを意味する言葉に由来。

この人名は、たとえば「夢野久作さんのようだ」といった使い方がされます。

実際、処女作を雑誌に送った際、夢野久作の作品を読んだ父が、「夢野久作の書いた小説のようじゃの」と言ったことから、この言葉をペンネームにしたそうです。

その他に、夢野久作は、海若藍平や香倶土三鳥、杉山萌円といったペンネームを使ったこともあり、それぞれ読み方は、海若藍平かいじゃくらんぺい香倶土三鳥かぐつちみどり杉山萌円すぎやまほうえんと言います。

ちなみに、『ドグラ・マグラ』という不思議なタイトルは、作中の説明によれば、切支丹キリシタンバテレンの呪術を指す長崎地方の方言に由来するようです。

元来この九州地方には『ゲレン』とか『ハライソ』とか『バンコ』『ドンタク』『テレンパレン』なぞいうような旧欧羅巴ヨーロッパ系統のなまり言葉が、方言として多数に残っているようですから、あるいは、そんなものの一種ではあるまいかと考え付きましたので、そのような方言を専門に研究している篤志家の手で、色々と取調べてもらいますと、やっとわかりました。

……このドグラ・マグラという言葉は、維新前後までは切支丹伴天連キリシタンバテレンの使う幻魔術のことをいった長崎地方の方言だそうで、只今では単に手品とか、トリックとかいう意味にしか使われていない一種の廃語同様の言葉だそうです。

語源、系統なんぞは、まだ判明致しませぬが、いて訳しますれば今の幻魔術もしくは『堂廻目眩どうめぐりめぐらみ』『戸惑面喰とまどいめんくらい』という字を当てて、おなじように『ドグラ・マグラ』と読ませてもよろしいというお話ですが、いずれにしましてもそのような意味の全部を引っくるめたような言葉には相違御座いません。

出典 : 夢野久作『ドグラ・マグラ』

キリシタンバテレンとは、キリスト教が日本に伝わった頃の宣教師の敬称を意味します。